日債銀の顛末

長銀に続き、99年日債銀(日本債券信用銀行)に4兆9千億円の公的資金が注入され国営化された。サーベラスなど競合外資がいたにもかかわらず、00年ソフトバンクオリックス東京海上などの日本連合に10億円で売却され、01年あおぞら銀行になった。尚、この売却の政府代理人は米国証券のモルガン・スタンレーであり、買手である日本連合の代理人に回ったのがゴールドマン・サックスである。

日本連合に売却されたのは、長銀外資に売却したことを批判されたからと言われている。しかし専門家によると欧米では、公的資金で再生した銀行を売却する相手は必ず銀行であって、投資ファンドや事業会社に売却する例はないという。投資ファンドは短期的な売却益を上げることが目的であり、事業会社への売却は、公的役割を担う銀行が、単にオーナー企業の資金調達窓口になりかねない。

金融大臣柳沢伯夫は日本連合に売却する形をとって国民の眼を誤魔化したが、やがて馬脚を露すこととなる。ソフトバンクは僅か3年で、競合していたサーベラスに売却し500億円の売却益を上げたのである。さらにサーベラスは08年、あおぞら銀行の上場に際して一部保有株を手放して、500億円の売却益を得たという。

それだけではない。サーベラスあおぞら銀行から1000社以上の顧客情報を入手していた。とりわけ不良債権化している大企業の機密情報は、企業買収を仕掛けたいサーベラスにとって大きな価値を持つ。

長銀日債銀両行に注入された公的資金は13兆円弱に上る。加えて瑕疵担保特約で国が買い戻した債権総額は1兆6600億円。このほか民間の負担がある。借手や邦銀、日本経済が受けた損失ははかり知れない。

銀行に対する強硬姿勢で知られ、マスコミでも改革派とされた柳沢は、日本の金融再生を報告し、理解を求めるために訪米した。この必要の無い柳沢の訪米は日本が米国の属国であることを端的に物語っている。

日本の金融破綻は、外資に貢ぎ物をするために準備されたと言っても過言ではない。しかしこれだけでは終わらなかった。外資の攻略は小泉政権下、竹中プランによって再び我が金融市場を襲うのである。


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