大蔵族小泉純一郎

森喜朗の退陣表明を受けて、自民党は01年4月24日総裁選挙を行った。最大派閥経世会(竹下は00年6月死去、以後橋本派)から橋本龍太郎元首相が、森派から小泉純一郎がそれぞれ立候補し、これに亀井静香麻生太郎が加わった。田中角栄の娘・真紀子は、経世会に対する怨念から「自民党をぶっ壊す」と改革路線を強く打ち出した小泉を徹底的に応援した。

橋本は、こともあろうに「靖国神社参拝」を公約した小泉に「宗教を政治利用するとは非常識」と非難したが、予備選挙では小泉が殆どの都道府県を制して国民的人気を見せつけた。国会議員票は橋本有利であったが、小泉支持の大きな世論に圧倒され、本選挙でも小泉が総裁に選ばれた。田中真紀子効果は絶大であった。

しかし、政治のリーダーシップは、自らの将来ビジョンを語り、説得し、支持されてこそ発揮できるものであり、面白おかしい漫談で人気を博すことではない。自身の属する自民党をあしざまに非難することは、単なるポピュリズム大衆迎合であって政治ではない。

「痛みを伴っても改革」「改革なくして成長なし」「聖域なき改革」「改革をとめるな」「恐れずひるまずとらわれず」「民にできることは民に」「中央から地方へ」とすべてがキャッチフレーズ化された。小泉政治はわかりやすいとマスコミは評価した。代案を示さず一刀両断、切って捨てればカッコもいいしわかりやすい。中身を語らずキャッチフレーズだけの改革は、国民に選択肢を示さない独裁なのである。

小泉は自民党の同僚議員たちを「道路族」や「郵政族」と痛罵したが、自分自身は「大蔵族」であった。大蔵大臣こそ就任し損なったが大蔵政務次官自民党財政部会長、衆院大蔵委員会常任委員長を歴任し、内閣・党・国会すべてのポストを経験している。

マスコミは米国批判のみならず、大蔵族を叩くことは決してない。大蔵族が最強の族議員であることを国民は知らないのである。直近の例として現在の安倍政権の副総理・財務大臣・金融担当大臣麻生太郎は、ヒトラーを礼賛するような放言で世界を騒がせた。度重なる放言癖で罷免は当然と思っていたが、マスコミはだんまりを決めいつのまにか鎮静化されている。消費税8%実現が優先されたのである。


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