りそな銀行実質国有化

四大銀行グループを外資に提供した竹中金融相は、03年5月28日りそな銀行国有化を決定した。りそな国有化を巡る謎は多いが、重大な疑問は2兆円近い公的資金が注入されたことである。公的資金注入には厳格な資産査定を主張する竹中がその資産査定を行わず、巨額資金の投入を決めたことである。りそながこの直後に、1兆7千億円の赤字を計上したのも実に奇妙なことであった。

話は2ヵ月前の3月中旬に遡る。りそなの監査を巡っては、金融庁と二つの監査法人の意見の相違が問題になった。竹中が主張する繰延税金資産は1年分という朝日監査法人の厳格査定通りなら、りそなは債務超過になる。4月30日朝日監査法人は突然監査を降りてしまう。直前には、担当公認会計士が自殺するという事件が起きた。他殺の疑いさえあった。

残された新日本監査法人は、当初りそなの意向に沿って繰延税金資産5年分を認めようとした。4年分以上なら、りそなは自己資本比率を満たし決算を済ませることができる。5月12日金融問題タスクフォースで竹中大臣の「金融庁は監査過程に介入しない」との意向が伝えられたものの結局、破綻以上健全未満の3年分を認める結論に至る。これなら国有化し公的資金を注入できるからである。

実は当初、竹中はりそなを破綻させ外資に転売するつもりだったが、金融庁の抵抗で2兆円の公的資金注入で妥協したとの見方がある。

国有化と称していたが厳密には国有化ではない。長銀日債銀のように破綻した上での国有化なら、株主責任が問われ株価はゼロになる。しかし、りそなの場合「実質国有化」という手品を使った。そのために破綻以上健全未満の監査が必要だったのである。債務超過ではないから株主責任は問われず株価はゼロにはならない。竹中は、いや米国金融資本はここに目を付けていたのである。

りそなへの公的資金注入は株価を急騰させた。りそなをはじめ銀行株だけでなく、株式市場全体に活気が戻った。安値でりそなの株式を購入した米国ファンドがいくつかあり、巨利を得たと証券市場で囁かれた。一部政治家もいたという。インサイダー取引である。

不良債権の厳格査定を主張した竹中のマッチポンプは許し難い。だが2兆円の効果はこれだけではなかった。国民に景気回復と改革の成功を印象付けるという大きな役割を果したのである。


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