国辱的な外資の資本参加

小泉政権の初代金融大臣は柳沢伯夫である。柳沢は日本の銀行は健全であるとして公的資金の注入に反対して、竹中平蔵経済財政政策担当大臣と対立し02年9月罷免され竹中が金融大臣も兼務することになった。竹中は米国の論理を持った傀儡として小泉内閣に送り込まれ、頻繁に米国大使館の食事会に出席するなど密接な関係を保ち、日本の国富・国益・社会を貢米する代理人である。

99年から01年にかけて金融再編が進んだ。第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行みずほ銀行に、住友銀行三井銀行三井住友銀行に、三和銀行東海銀行・東洋信託がUFJ銀行に、あさひ銀行大和銀行りそな銀行になり、大銀行は東京三菱銀行を加えた国際四メガと、国内に特化したりそな銀行に集約された。その他の銀行、証券、保険の再編もめまぐるしいほどに進んだ。

金融市場もようやく落ち着きを取戻すかに思われたが、竹中金融プランという激震が襲った。03年1月四メガは過小資本で国有化される事態を避けるため巨額増資に踏み切った。三菱東京グループ3,500億円、三井住友グループ4,500億円、UFJグループ1,200億円、みずほグループ1兆円である。

三井住友グループの増資はゴールドマン・サックスが引受けた。ゼロ金利時代になんと4.5%の配当利回り優先株である。しかも議決権のある普通株に転換できるオプションが付いている。さらにゴールドマン・サックスが行う投資の損失を保証するリスクを負い、そのための巨額出資さえ行っている。国辱的なまでの好条件だ!UFJグループの増資はメリルリンチが同様の好条件で引受けた。

たとえ一部を譲渡しても、市場から消えるよりはマシだと、銀行は孤独な決断をしたのである。日本の金融大臣竹中は自国の銀行をここまで追いつめたのである。東京三菱も、みずほも不良債権処理の子会社などに外資の資本参加を受入れた。

金融庁に、UFJダイエー日商岩井大京等貸出先の業績見通しが悪いことを示す資料を隠蔽しているという内部告発があり、03年10月金融庁特別検査が実施された。役員は全員辞任に追い込まれ、1,000億円を超える赤字に転落し、とても応じきれない業務改善命令を突き付けられ、ついに東京三菱に救済合併を求める事態に至った。

05年、三菱東京UFJの利益がトヨタを抜いて日本一になった。その原因はUFJの巨額利益にあった。巨額の貸倒引当金を積まされたが、実際には焦付きは大きくなくそれが逆に巨額利益に変ったのである。これは竹中金融行政のまやかしの証拠であるが、厳し過ぎる査定によって不良債権処理され、倒産・失業に追込まれた人々にとって、もはや取返しがつかない。


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