デフレスパイラル

景気対策を求める国民の声に、竹中経産相は「不況、不況と言うが、ちゃんと高収益を上げている会社はいくつもあるではないか」「努力する人を支えるのが改革政権。小泉政権古い自民党のようにバラマキはしない」と持論を展開した。しかし、努力すればするほど、景気が悪化するのがこの不況の特徴なのである。

売上が落ち利益が出なくなった企業はリストラする。仕入れを抑え経費を節約する。結果、失業者が増え、取引先の売上を落し、回り回って、また自分の売上を落すことになる。業績良好と言われた電気や自動車の製造業まで、第二次リストラ、第三次リストラに取組まざるを得なかったのは、このためなのである。

家計も、父親の給料が減れば母親は節約する。商店街やスーパー・デパートの売上が落ち、回り回ってまた父親の会社の業績が悪化する。国民はなんとか不況を乗り越えようと、懸命に節約、リストラの努力を重ねるが、努力すればするほど状況が悪化するのは、その努力が全体としての需要を縮小しているからである。

これまでの不況は経済発展に伴う産業の構造転換という側面が強かった。重厚長大からソフト化、ハイテク化というように衰退していく産業もあれば成長する産業もあり、衰退産業で使われなくなった人手や資材を成長産業に吸収できた。しかし今回の不況は全産業的、全地域的な不況である。余った労働力や設備を吸収する力がどこにもないのである。

国民の努力ではどうにもならない不況だからこそ政府による需要を増やす政策が必要なのである。この経済状況で民に任せて放置するのは政府の怠慢である。「良い業績を上げている企業があるではないか。だから政府の責任ではない」というのが小泉・竹中政権の主張であった。

この状況ではバラマキでなくても国がやるべきことは沢山ある。減税は一部貯蓄に回るから効果が薄いというなら、需要増加の効果を上げる公共事業をやればよい。防災事業は急を要している。しかし、小泉政権は公共事業抑制を強硬に進めただけでなく増税路線をひた走った。

その一方で米国のポチ小泉・竹中は32兆円を超える為替介入によるドル高・円安を誘導し、株価を急上昇させ景気回復を演出した。単に米政府の命令に従っただけであるが、厖大な国富が海外へ持ち出される惨憺たる結果となった。


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