郵政改革----②

郵政三事業は橋本行革に基づき「公社化」されることが決まり、02年7月郵政公社法が成立し、03年4月には郵政公社が発足した。小泉首相はその半年後の10月竹中平蔵経財相を郵政民営化担当に任命した。竹中法案に反対した自民党議員たちは、あくまでも三事業一体でまず公社化しその後民営化するというのが共通認識だった。

そこへ突然、何の説明もなく四分社化(郵便・貯金・保険・窓口)し、カネの部分だけはできるだけ早く100%上場するという法案が出てきたために「なぜだ?」と説明を求めたが小泉・竹中はなぜか与党との協議に一切応じず、一字一句たりとも修正を拒むという不可解な姿勢を示した。04年9月竹中法案は党内手続きを無視したやり方で閣議決定された。

衆院では小泉も竹中も、なぜ郵政を民営化せねばならないのか説明できない。民営化が必要な理由がクルクル変わったのである。当初は「財投改革、民業圧迫に加え、民営化すれば30万の公務員が減り税負担が減る」と利点を強調した。しかし「郵政事業が独立採算であり税金が使われていない」と指摘されると「民間企業になれば納税するので財政にプラス」と主張する。

しかし、郵政事業公社化後は利益から郵便貯金のための基準額を引いた残余の半分を国庫納付することになっている。郵政事業はこれまでも国鉄清算事業団の赤字を埋めるために1兆円の拠出も行っている。とうとう「郵政事業はこのままでは赤字になる」「民営化して事業拡大の必要がある」との理由まで飛び出した。当初の民業圧迫に矛盾する上に、試算すると民営化しない方が利益も納税も大きいのである。

94年以来、米国は毎年「年次改革要望書」を日本に突き付けており、95年以降毎年、郵政民営化を要求している。120兆円を超える簡易保険は、米国の保険会社にとって垂涎の的であり、竹中法案は米国の要求を100%呑み込んだものであった。野党の質問に対して「年次改革要望書など見たこともない」と竹中は答弁したが、米国側は日本語に翻訳までして米国大使館のホームページに公開している。

「米国の言いなりではないか」と追及された小泉は「自分は米国の要望のずっと以前から郵政民営化を主張してきたのだから年次要望書など関係ない」と主張した。だが昔から民営化を目指していたことは、米国の要求を受け入れたことの反証になっていない。

米国の要求は財務省金融庁にとっても望ましい。巨大な二つの金融機関が監督下に置かれ、権限が拡大するだけでなく天下り先が増えるからである。現に06年6月前金融庁長官・高木祥吉日本郵政株式会社の副社長になっている。


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