郵政改革----③

05年7月5日の衆院本会議での郵政民営化法案採決は、自民党から37名が反対し14名が欠席という大量造反が出た。結果は賛成233、反対228の5票差で可決された。参院では8月5日郵政特別委員会の採決の直前、反対派の議員全員が賛成派の議員と入替えられた。国会法45条には特別委員会の委員は「議決されるまで、その任にあるものとする」と書かれており、明白な国会法違反が強行された。

8月8日の参院本会議で、自民党から22名が造反し、反対125、賛成108の17表差で否決された。午後1時44分であった。小泉首相はその4分後、自民党役員室で衆院を解散する意向を伝え、解散の手続きを始めた。参院での否決を「郵政民営化を国会は必要ないと判断した」と、言いかえるところに小泉の狡猾さがあり、総選挙を郵政民営化国民投票としたところに問題があった。

国民が望みもしない、問題山積の郵政民営化法案を通すために、一ヶ月以上の政治空白を作り、800億円もの国費を使って良いのだろうか。小泉は造反した議員を公認せず刺客を送り込んで、当選を妨害するという異常行動に出た。造反候補者たちは無所属のまま出馬したり、国民新党新党日本を結成して対応した。

9月11日の総選挙の結果は、自民党の296に対して民主党は113であった。多くの有為の人材が議席を奪われ、小泉への忠実さだけが取り柄の小泉チルドレンが大量に当選した。自公の与党は337議席を占め、日本憲政史上初の3分の2を超える再議決を可能とする議席数となった。

小泉郵政解散総選挙は戦前の翼賛選挙を連想させた。恐ろしいのは小泉政治の異常さを許した衆参両院議長、野党政治家であり、代表制民主政治の危機を批判せず「新しい政治」だと評価したマスコミや有識者である。加えて、いとも簡単に付和雷同する日本国民、あの真珠湾攻撃に狂喜した同一の日本国民の存在である。郵政選挙において、小泉に勝利を与えたことを日本の恥辱として長く記憶にとどめるべきである。

9月12日岡田克也民主党代表は、惨敗の責任をとり辞意を表明した。代表選で菅直人を僅か2票差で破った前原誠司が後任となった。小泉は郵政選挙の大勝利をもって、郵政民営化法案を特別国会で瞬時に成立させた。こうして小泉は過去の強姦事件による落選その私怨を晴らした。小泉復讐劇は彼の祖父が汗した郵便行政を踏みにじったのである。


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