郵政改革----④

「民にできることは民に」これは正しい。小泉改革の誤りは「民にできないこと」をやらせたことである。その気になればできることでも採算がとれなければ「民にはできない」。民間企業に国民生活を守るという「志」は望むべくもないのである。営利追求の「民にはできない」ことがあるからこそ、政府が存在し公的な行政サービスを行い、その経費として国民は税を負担しているのである。

07年10月1日、郵便局は政府の公社から株式会社になった。郵便、郵貯簡保はバラバラに分割され、箱である郵便局まで別会社になった。四社は親会社である日本郵政の傘下にはいる。ゆうちょ銀行もかんぽ保険も郵便事業会社も「郵便局」の窓口を借りて10年間営業を続けることになった。10年経てばいつでも出て行くことができ、採算の取れない地域で営業を続ける必要はなくなるというわけである。

僻地の住民が郵便配達のついでに貯金や保険の手続きなど、したくてもできなくなった。「郵便局は無くならない」と小泉首相は強弁したが、民営化スタートの時点で148の郵便局が閉鎖されており、一時閉鎖になっている局も417に及び、集配をやめてしまった局は1,048もある。送金したり貯金をおろしたり年金を受け取るのに、遠い隣町までバスに乗らねばならなくなってしまった人々が急増したのである。

小泉が異常な郵政解散を断行したのは、全てブッシュ大統領との約束の実現であったことが、08年の時点で明確となった。08年9月15日米国の証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻した。翌16日、米国の最大手保険会社AIGが総額1,800億ドル(約19兆円)の公的資金導入で公的管理下に置かれた。

AIGはAIUやアリコジャパンアメリカンホームダイレクトといった保険業を日本で展開し、米国政府とタッグを組んで、郵政民営化医療制度改革を強行させた張本人である。小泉はAIGのために、只そのためだけに郵政民営化と医療改革を行ったのである。小泉・竹中構造改革が日本人の生活を如何に危険なものに誘導したか、早くも証明されたといえる。

竹中平蔵には米国から感謝状が届いていることが、国会で暴露された。小泉はプレスリー邸で遊ばせて貰ったし----

関岡英之は「米国は、民営化後の簡保金融庁の監督下に置き、独占禁止法を厳格に運用し適切な処理をとるように求めている。つまり、銀行に対してそうであったように、金融検査で簡保を追込み、独禁法で分解・解体し株価を大幅に下落させ、安価で買い叩く狙いである」と推測している。


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