小沢一郎、民主党代表に

小泉首相にとって、郵政選挙で大勝利したものの秋からの政局は自分のペースのものではなかった。05年9月30日には大阪高裁・大谷正治裁判長が小泉首相靖国神社参拝をめぐる訴訟の控訴審で、違憲判決を下した。自民・民主・公明の各党有志が「国立追悼施設を考える会」を発足させた。

11月中旬には姉歯秀次による耐震強度偽装事件が発覚し、建築確認申請を民間にも委ねた小泉規制緩和構造改革路線の問題が提起された。さらに郵政選挙自民党が後押しして、広島6区から立候補して落選した、拝金主義者・堀江貴文ライブドア社長が、証券取引法違反で捜査され、06年1月23日には逮捕されることになる。これも小泉構造改革のあり方が批判された問題であった。

2月16日衆院予算委員会で、民主党永田寿康自民党幹事長・武部勤堀江貴文から不正な政治資金を受取っていたと追及した。その直後、送金を指示したとされる堀江のメールが偽造であることが判明し、その責任をとって永田は議員を辞め民主党代表・前原誠司も辞任することになる。民主党への国民の支持が高まった矢先のことであり、民主党は深刻な事態に陥ってしまったのである。

06年4月7日民主党は前原の後任を選ぶ代表選挙を行なうことになる。この時官邸・自民党公明党は公然と小沢一郎が代表に選ばれることを妨害するため、投票方式を採用することを画策した。しかし投票による党内亀裂を避けたいという小沢の心理状態を読んだベテラン議員の思惑は外れて、代表選挙となった。結果は小沢119票、菅直人72票であった。

民主党政治資金収支報告書のホームページによる公開は、小沢が代表になるといつの間にか消去された。06年9月25日小沢は臨時党大会で代表に再選されると「財務委員長」なるポストを新設し側近の山岡賢次を就け、まさにその日、山岡宛に一回目の「組織対策費」6,800万円を支出。翌07年一年間だけで山岡への支出は16億円余にのぼる。これは同年の政府官房機密費14億6千万円を優に上回る額である。

山岡の後任の佐藤泰介には、08年3月から11月の間に計5回、総額5億3千万円もの組織対策費が支出された。佐藤は小沢側近の輿石東とは関係が深く、そのラインで財務委員長に抜擢されたようである。しかし、山岡の資金管理団体にも、関連政治団体や政党支部にも、そのような巨額のカネの動きは一切ない。佐藤も同様である。

07年12月参院の特別委員会で民主党中村哲治は「政治家に渡せばその後の使い道は追えなくても適法だとなっている。これでは政治資金の透明化の確保ができない」と質問。安倍内閣総務大臣増田寛也は「政党などから自らの責任と判断で処理し得る立場の者に交付すれば違法ではない」と答弁。07年7月の参院選民主党に大敗したとはいえ、衆院で3分の2を超える安倍自公政権が本気になれば、政治資金規正法を修正し禁止できた筈である。


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