小泉政治の総括

06年4月23日に行われた千葉七区の衆院補欠選挙は955票差で民主党が勝利し、小沢一郎代表の選挙神話が復活した。使途を明確にしない組織対策費が投入されたことは当然であろう。そして小泉首相は会期末には「後期高齢者医療制度」を強行成立させて、6月18日小泉首相最後の国会会期を終えた。小泉政治を総括すると次の大罪があったといえる。

第一は日本の先人たちが築いた対米自主協調関係を崩壊させ、軍事においても経済においても米国の属国化とした責任は重大である。第二は米国金融資本の手先となって、日本に市場優先拝金主義の政策を導入したことである。そのため精神的かつ物質的格差社会が意図的につくられ青年から明るい未来を奪い、異常な犯罪を多発させ憲法で保障されている生存権さえ侵すようになった責任は大きい。

第三に小泉首相の国会における言動の不誠実、不真面目をマスコミは批判せず、政治の大衆化として容認したことが、日本政治を著しく劣化させた。それが郵政解散・総選挙という憲法否定、憲法停止の政治となった。小泉首相と自公両党そして、それを支えたマスコミがもたらしたものは、日本の国家社会の崩壊、亡国政治であった。

最悪なことは、財政再建を目標としたが小泉政権下に増加した国債発行額は250兆円にものぼる。国民が要望した不況対策を無視した結果の歳入減、国債償還に伴う新規発行、テロ戦争と称するアフガニスタン攻撃を後方支援したインド洋海上給油・イラク戦争におけるサマーワ復興支援、米国債の大量購入が主たる要因である。

小泉は退任を一ヵ月後に控えた8月15日の終戦記念日、5年前に公約した靖国神社参拝を強行した。それまでの参拝は8月13日、4月21日、1月14日、1月1日、10月17日と公約通りではなかった。小泉の参拝は、反対する近隣諸国の顔色を窺いながらのもので、小泉は宗教を政治利用した安っぽい政治屋と言うべきである。

靖国参拝を続けられていた昭和天皇は、A級戦犯が合祀され79年4月それが公になって以来、参拝を取り止めている。今上天皇も同様である。天皇の反対を押切って日独伊三国同盟を強引に締結した松岡洋右・元外務大臣までが合祀されていたからである。我々はこの一人の重大な過ちが、太平洋戦争まで発展してしまったことを決して忘れてはならない。

中国、韓国が首相や閣僚の靖国参拝をさかんに非難しているが、これは明白な内政干渉である。しかし、米国からの年次改革要望書、いや命令書もとんでもない内政干渉である。この命令書に従順な小泉が、中国、韓国に「内政干渉だ!」と言えるはずもない。米国の内政干渉を許す限り、中国も韓国も干渉を続けるであろう。私は憲法20条の精神、判例から思うに、どうしても参拝したいと願う国会議員は選良であることを自覚し、議員である間は参拝すべきでないと考えている。


レース結果共鳴チェック