北朝鮮初の核実験

06年9月の自民党総裁任期切れに当って小泉首相勇退を表明しており、安倍晋三麻生太郎福田康夫谷垣禎一の四人が有力候補であった。高い支持を集める政治家を総理・総裁に据えるという行動様式が自民党内に広がっていたため、次第に安倍を小泉後継にするという流れが強まった。7月福田は早々に不出馬を表明。9月20日自民党総裁選挙は安倍の圧勝となり、26日臨時国会内閣総理大臣に就任した。

首相就任直前の安倍は22日、創価学会の名誉会長池田大作を極秘に訪ね、小泉時代にこじらせた日中問題の解決について意見を聞いた。日本の政教一致も危険水域を超えたといえる。後日、参院予算委員会でこのことが追及されたが、安倍は「そんな事実はない」と嘘の答弁を繰り返した。

内閣支持率70%前後を誇る安倍が中国を訪問し韓国に移動した06年10月9日、北朝鮮は初の地下核実験を行った。安倍の訪中訪韓というタイミングを狙っての暴挙であった。日本のマスコミは国民に危機感を煽った。政治家も有識者も、北朝鮮の狙い通り日本は大騒ぎとなった。

安倍はかって、「日本の核兵器保有憲法の禁ずるところではない」と重大な発言をしたことがある。この安倍理論を踏まえてか、党政調会長中川昭一と外相麻生太郎が相次いで「日本の核兵器保有について議論があっていい」と発言した。核兵器保有の発言を黙認した安倍の態度に対して、欧米では日本の政権内部指導者の「核兵器保有論議の誘導」は悪質で危険であるとの批判が続出した。この当時から安倍の未熟さ危うさが懸念されていたのである。

国会での論議や欧米、特に米国政府からの批判もあり、年末のNHKの世論調査では「核保有すべきでない」67%、「核保有すべき」8%と国民は冷静さを取り戻した。国是とされる「非核三原則」を再認識しなければならない。そして核を持たない日本を核攻撃した途端、その攻撃国は世界を敵にまわすことになり亡国の道を辿ることになるであろう。

安倍人気は長続きしなかった。最初のつまずきは郵政民営化法案に反対して自民党を離れた衆院議員を復党させたことであった。これは小泉前首相に心酔する国民から、小泉改革路線の後退と受け止められた。復党の手続は幹事長中川秀直が担当し、条件に踏み絵的誓約書を提出させたため、平沼赳夫議員だけが拒否し、11名が復党した。


レース結果共鳴チェック