閣僚不祥事

数に驕る安倍政権は06年12月25日に成立させた「改正教育基本法」にみられるように、衆参両院の与野党で紛糾した議事で、17回も強行採決を行った。強行採決をこれ程乱用した強権政治は例がない。改正教育基本法は何のための改正か、どのような日本人をつくろうとするのかが不明であった。また強行採決の中に防衛庁防衛省に昇格する法案も含まれていた。

12月27日行政改革担当相・佐田玄一郎政治資金収支報告書の事務所費に不適切な処理があったとして引責辞任した。類似の問題が農水相松岡利勝にもあることが発覚した。松岡は林野庁の林道工事疑惑も追及され引責辞任の動きもあった。しかし安倍は閣僚辞任が続くことによる内閣の弱体化を避けることを優先した。このため松岡はポストに居座り続けることになる。

07年1月厚労相柳沢伯夫の「女性は産む機械」発言、家賃無料の議員会館に置いた政治団体に年4,700万円以上の事務所費を計上していた文科相伊吹文明と不祥事は際限なく続いた。この二人の閣僚も居座った。

4月に行われた統一地方選挙では、44都道県議会議員選挙で自民党は100議席近くを減らし、民主党は205から375へと大きく躍進した。政令市議会議員選挙でも民主党は126から194へと議席を増やした。5月28日松岡が議員宿舎で首つり自殺するという悲劇が起った。後任の赤城徳彦も事務所費問題が浮上した。7月には防衛相・久間章生が原爆投下を「しょうがなかった」と発言しその責任をとり辞任した。

安倍は参院選挙に臨むにあたって、懸案問題の解決を図ったと国民の前で胸を張った。選挙中、小泉前首相は「過半数を割っても参院に政権をつくる権限はない。責任とか辞める必然性はない」と無責任な発言を繰り返した。安倍は「私を選ぶか、小沢民主党代表を選ぶか」と放言し、政治的に内閣総理大臣を選ぶ選挙に仕立てた。

7月29日に行われた参院選挙の結果は、自民党37、公明党9に対して民主党は60議席を獲得。参議院で自公は過半数割れし、民主党が第一党になった。自民党内には安倍退陣論が噴出したが、小泉や麻生太郎外相の誘導もあって、本人が政治家としての判断ができず政権にとどまり続けた。

8月1日赤城農水相が辞任する。赤城は参院選直前に顔に絆創膏を貼って会見し、その理由を述べることを拒否して不興を買い、参院選での自民敗北の一因と指弾されていた。さらに赤城の後任の遠藤武彦も、献金問題により就任わずか8日で辞任した。8月末の安陪内閣の支持率は33%、不支持は53%にのぼった。(朝日新聞)


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