米国のシェールガス革命

日本と異なり国民の貯蓄額が極端に少ない米国は、金融機関救済のための公的資金財源を膨大な国債発行に頼った。日本は様々なルートで米国債購入を強制されてきた。円高介入もそのルートの一つである。

日本政府は政府短期証券(FB)という60日前後で償還を迎える超短期国債を発行し、金融機関から円資金を調達。その金で外国為替市場でドルを買う。政府はこのドルを使って米国債を購入する。するとどうなるか?金融機関にあった筈の我々の貯蓄は、FBを経由してドルの現金と交換され、最後には米国債という借金の証文に姿を変えてしまう。つまり円もドルも現金は米国に流れ込むということになるのである。

米国政府はその資金を戦費として使って軍産複合体を肥えさせ、金融危機の最中には公的資金として垂れ流すことで、欺瞞だらけの金融資本家たちを救済した。だが中国や中東の産油国は、米国債の購入を控えるようになった。借金先に窮した米国はFRBによる長期国債を最大3,000億ドル購入を決定した。しかし中央銀行が自国の国債を買うことは銀行券の発行に歯止めが利かなくなりハイパーインフレにつながる。

既に日本銀行は日本国債を、欧州中央銀行(ECB)も事実上ユーロ建ての国債を引受けている。これでドル、ポンド、円、ユーロの四大通貨の中央銀行が自国の通貨建ての国債を購入していることになる。こうした状況の悪化を受けて、中国、インド、中東などの対外黒字国が米国債を手放し始めた。その償還のためにFRBは、さらにドルを湯水のように刷って対応した。

09年2月16日〜22日、米国務長官ヒラリー・クリントンは日本、インドネシア、韓国、中国を歴訪した。中国では、米国債を買って貰うため米国内の担保を強制的に奪う権利を中国に差出すといった内容で条約を締結した。その結果、中国が保有している米国債の09年3月末時点での残高は7,679億ドルに達し、08年9月以降、日本を抜いてトップに立った。

09年4月FRBはドル相場の防衛のため、英国、日本、スイス、EUの各中央銀行通貨スワップ協定を締結した。この協定によってFRBは英国から300億ポンド、日本から10兆円、EUから800億ユーロ、スイスから400億スイスフランを引出せることになった。ドル換算で総額2,850億ドルである。結果、米国の借金総額は59.3兆ドル、世界にバラまかれたドルを入れれば100兆ドルを超える。それに対してGDPは僅か14兆ドルにすぎない。

だが、米国はシェール(頁岩)ガス革命によって奇跡の復活を遂げるであろう。米国のシェールガス埋蔵量は400年分だという。問題は世界に紛争や戦争を仕掛ける軍産複合体や、世界中に詐欺まがいの証券化商品(CDO)をバラ撒いた強欲金融資本家たちの存在である。これらを解決して、40年代〜50年代に世界の尊敬を集めた、あのアメリカに復活してもらいたいものである。


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