マネーロンダリング

10年11月末に公開された09年分の政治資金収支報告書によると、民主党幹事長小沢一郎資金管理団体陸山会」は政権交代を遂げた衆院解散前日の09年7月20日小沢本人から3億7千万円を借り入れた。陸山会は翌21日小沢グループのメンバーら88人に一人当り500万円、別の一人に200万円、7月27日と8月17日2人に700万円を配った。総額は91人、4億4,900万円にのぼる。

同日民主党本部からも500万円の公認料が配られた。ある衆院議員は「公認料は1千万円と聞いていたが実際は500万円でガッカリした。そこへ小沢氏から500万円貰い『これで戦える』と心強く思った」と語ったという。こうして小沢は06年で約30名だった自身のグループ「一新会」を中心とした派閥のメンバーを約150人にまで拡大させることに成功する。

陸山会はカネを配った翌22日小沢に3億7千万円を返済した。つまり、陸山会は小沢からわざわざ借金する必要はなかったのに、敢えて借金したことになる。なぜか?そのルートを辿ると、衆院解散日の09年7月21日小沢の政治資金団体「改革フォーラム21」が、小沢が代表の民主党岩手県第四区総支部に3億7千万円を寄付。その翌22日同支部は同額を陸山会に寄付名目で移動。この資金が小沢の返済に回っていたのである。

改革フォーラム21から陸山会に直接寄付すると、双方ともに政治団体であるため、年間5千万円を超える寄付を禁止する政治資金規正法に抵触する。この規定は政党や政党支部には適用されないことから、小沢は岩手第四支部をトンネルに使ったというわけだ。それだけではない!

94年12月10日新進党結成に伴って新生党は解散するが、その直前新生党本部と支部に残っていた総額約9億2千万円が改革フォーラム21に寄付されている。改革フォーラム21は設立当初、会員が920名・会費収入は約1千万円だったが95年〜09年まで会員はゼロで会費収入はない。

収支報告書によると96年以降、毎年約7億円の繰越金が計上されそれが塩漬けになっている。実質的な開店休業状態である。問題は7億円に対する預金利息名目の収入が1円も計上されていないことである。そこから7億円は既にどこかで使われ事実上残高はゼロだったと思わざるを得ない。つまり「ペーパー団体」なのだ。

だが、09年3月3日陸山会の事務所に強制捜査が入った後に提出された08年分の収支報告書には、改革フォーラム21の繰越金7億円に対する利息が突然計上されるのである。今回の3億7千万円は、改革フォーラム21が保管してきた7億円の中から流れたように見せかけているが、実際は別のカネを原資として表に浮上させたマネーロンダリングであった。


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