TPPのデメリット

TPP加盟9か国の内、日本の貿易相手国として想定されるのは市場規模が圧倒的に大きい米国となる。しかし日本の輸出全体で見た場合、米国の占める割合は15.3%に過ぎない。しかも米国の関税は現時点の工業分野で1.9%と低く、これがゼロになっても殆どメリットはない。一方、TPP加盟で生じるデメリットは、決して小さくない。米国は農業大国であり安い農産物が押し寄せ、日本の農業は壊滅に瀕するだろう。

また食の安全で言えば、不妊や発がん性などの副作用が伏せられたまま、遺伝子組み換え食品の表示は廃止され、農薬や添加物も大幅緩和され、狂牛病規制緩和も進むことになる筈である。

TPPは電気通信、金融、投資、政府・地方公共団体の調達、知的財産権など計24分野で、不利益は国民全体に及ぶ。例えば米企業が日本に病院を建て、超高額な医療サービスを始めた場合、現在の自己負担3割、保険7割という健康保険制度が、ただでさえ赤字であるのに、これが適用されれば早晩破綻しかねない。仮に、混合診療が認められたとしても公的保険の負担が増大することにかわりはない。

混合診療の導入で公的保険が崩壊すれば、個人は民間の保険に加入せざるを得なくなり、「待ってました」とばかり米国の保険会社が押し寄せてくるだろう。これこそが米国の狙いなのである。

さらに医療費が公的保険でカバーされない場合、米企業は「不利益を被った」とICSID(投資紛争解決国際センター・世界銀行の傘下にある)に提訴できるのである。ICSIDの採決には強制力があり「公共の利益」は考慮されず、「企業(投資家)がどれほど被害を被ったか」という観点だけで審議されてしまうのである。尚、世界銀行の総裁には代々米国人が就任している。つまりICSIDは米国の機関に他ならない。

参考までに、米韓版TPPともいうべき米韓FTAで訴訟事件が発生した。米国のローンスターという投資ファンドが、破綻寸前の韓国外換銀行を安値で買取り、大量のリストラで帳簿上黒字化させ約3千億円で売却しようとした直前、検察によって止められた。結局、売却されたがこの間株価は下落した。同社は株価下落による損害を韓国政府に賠償させるため提訴。韓国は米国に再協議を求めたが、一度発効された条約は覆らない。視点は若干かわるが

韓国には65年締結の日韓基本条約等を、難癖を付けずに遵守して貰いたいものである!

そもそも韓国は輸出促進を狙って米韓FTAを締結し、EUともFTAを結んだ。しかし、その後韓国の輸出量は減少傾向にあり、その一方で輸入は激増。食糧自給率は50%から20%に下がり、農業崩壊の危機を迎えている。さらに輸出不振が恒常化して20歳代青年の半数近くは就職できず、人口比率での自殺率は世界一となってしまったのである。


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