仮設住宅問題

与野党の攻防は緊急事態に直面し休戦となり、11年3月19日菅首相自民党谷垣禎一総裁に副総理兼震災復興担当相として入閣することを要請した。自民党は同日夕方緊急役員会を開いたが、余りに唐突だとしてこの要請を拒否した。

3月27日陸山会事件の第7回公判に出廷した小沢一郎の元秘書石川知裕衆院議員は、4億円の原資について「自民党経世会の分裂や新生党新進党自由党民主党と政党が離合集散するなかで、小沢先生が貯め込んだ表に出せない簿外の資金だと思った」と重大な証言をした。政党転がしという手法で公金を含む党のカネを小沢自身の政党団体に横流ししたことを示唆したのである。

原子炉から流出する放射性物質が止まらないなか、農産物から様々な放射性物質が検出された。その結果、福島のホウレン草、かき菜、原乳が出荷停止となり、3月23日東京都内に水道水を供給する金町浄水場から、乳児向け暫定規制値の二倍を超える放射性物質が検出され、ミネラルウォーターを求めて消費者が店に殺到した。3月下旬には放射能に汚染された大量の汚染水が、配管を通して海に流出していることが明らかになった。

この原発事故について、国際原子力事象評価尺度による影響度のレベル0〜7のなかで、日本政府は事故直後レベル4と評価していた。3月18日になってレベル5、4月12日には最悪のレベル7に修正する。だがフランス原子力安全院は当初からレベル6、米国の科学国際安全保障研究所もレベル6または7としていたことから、日本政府の評価や判断に誤りがあったことは海外にも報じられた。

この後、韓国や台湾でも日本政府の発表ではなく、フランスや米国の情報を基に報道するようになり、韓国や台湾からの留学生が大挙して自国へ帰国したり、日本への観光を控えたり、日本製品の輸入を躊躇するなど、日本経済に対しても影響をもたらす結果となった。

3月24日統一地方選挙の前半戦が告示されスタートした。東日本ではマスコミも大震災の報道一色であり、個々の候補者の主張の報道の割合は少なく、有権者も選挙に十分な神経を注ぐ心理状態になかった。それでも地方選は強行されたのである。なぜ東日本だけでも選挙を遅らせるという判断ができなかったのか?被災者への思いやり、心がないのである。その典型が仮設住宅である。

仮設住宅を建設して「ハイ、終わり」では血の通った行政とは言えまい。12年10月現在の仮設住宅入居数は約4.9万戸11.4万人で、民間賃貸住宅入居者を加えると12万戸30万人にものぼる(厚労省) 特に仮設住宅入居者は今年で4回目の厳しい冬を迎え、健常者さえもストレスが溜り増々衰弱し、経済的にも冷暖房費が嵩み生活を圧迫している。この先何年仮設住宅で厳寒や酷暑に耐えねばならないのだろうか?

仮設住宅生活が長期化することは、はなから解っていたことである。国や県が主導して仮設住宅建設着工と同時に、然る場所に各町村毎に被災者の大半を収容する、マンションを建設していればこの問題は発生しなかった。マンションの1・2階には病院・介護施設、幼稚園・小中学校、銀行・郵便局、スーパー・駐車場等を配置すれば、顔馴染みとの絆が壊されることもなく、快適な避難生活が送れたであろう。等価交換による分譲も採用すれば、復興の速度も早まったに違いない。


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