麻生の失言・暴言

13年2月15日午前、円安・株高が進み日本の経済政策に各国が関心を寄せるなか、副総理・財務相麻生太郎はモスクワで開かれる、主要20ヵ国の財務相中央銀行総裁会議出席のため成田空港を発った。

ソフト帽を斜めに被り、およそ政治家とは思えないマフィアファションで身を固め得意満面の麻生を、米紙ウォールストリート・ジャーナルは「日本の財務相ギャングスタイルでG20に」「もしかして5大ファミリーのボス会議に行くの?」と紹介した。祖父の吉田茂をマネたようだが、麻生の幼さには言葉を失うばかりである。

麻生は、同年7月29日東京都内での国家基本問題研究所の月例研究会で、期待通りの舌禍事件を引起した。「ヒトラーは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握ってヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力でとったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください」

憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変ってナチス憲法に変っていたんですよ。誰も気づかないで変った。あの手口学んだらどうかね。」「わーわー騒がないで、本当に皆いい憲法と皆納得して、あの憲法変っているからね。是非そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりは全くありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪のなかで決めてほしくない」 ルーピー鳩山由紀夫菅直人だけではないのだ!

半藤一利は「ワイマール憲法は『ある日気付いたら変っていた』というものではない。小党乱立の政争に国民があきあきしていたところにナチスが登場。『一度やらせてみよう』と権力を持たせたところ、暴走して手がつけられなくなってしまったのが真相」と話した。「ドイツ国民はそうした政治の怖さを経験し反省している。ナチスを手本に改憲を目指そうなどとは、とんでもない」

広瀬清吾専修大教授によると、ナチスはワイマール憲法を廃止せず、ヒトラー内閣がどんな法律も制定できる「全権委任法」を作って憲法を骨抜きにしたのである。「誤解に基づく発言で、日本の政治家のクオリティーの低さを表した。改憲を論じるのに不確かな知識で軽々に論じている。発言の撤回以前に不見識を恥ずべきだ。ドイツでこんな発言をしたら、即座に議員辞職です」

小林節慶大教授は「ナチスは政治に暴力を用い立憲主義を否定した。それに学べと言うのは論外だ。麻生氏は現職の副総理で、首相経験者。内外に恥かしい発言で、安倍首相の責任で辞職させるべきだ」と語った。私も当然麻生は解任されるものと期待していたが、ある日突然マスコミは沈黙し、麻生の「ア」の字も消去ってしまった。官房機密費(税金)がバラ撒かれたのである。しかし、次の暴言では決して許すまい!


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