食糧メジャー----①

マクドナルドの世界店舗数は、13年1月時点で約34,000店、うち15,000店は全世界117の国や地域に展開している。10年にサンドイッチのサブウェイに抜かれるまでは年間15億食を販売する世界最大の飲食チェーンであった。売上高は08年で235億ドル、営業利益43億ドル。09年フォーチュンが発表する世界トップ企業500社の388位を占めた。

マクドナルドが全米展開を加速させた68年は、ハンバーガー用の加工肉は全米各地の175の企業から仕入れていた。フライドポテトやパンも同様にいろんな企業と取引していた。その後20年で食肉加工会社は、アイオワビーフパッカーズ(IBP)、タイソン・フーズなど5社にまで減った。

年商5億ドルだったIBPは、60年にファストフードシステムを導入した。職人を解雇し、低賃金の移民労働者を雇い入れた。機械化とラインによる流れ作業で肉の解体、精肉加工を行い同業他社に比べ、圧倒的に安く精肉を提供できるようになった。そして、中小の食肉加工会社を吸収しながら年商250億ドルの巨大企業となった。しかし、そのIBPは01年タイソン・フーズに32億ドルで買収されてしまう。こうして米国の良質な食肉加工業は急速に壊滅していったのである。

ファーストフードシステムを導入すれば肉の品質は大幅に下がる。肉の品質が悪かろうが味に大差はない。安ければいい。とにかく量を出せばいい。マクドナルドは、いったん質を下げたとしても、直ぐに客は減らないと考え、このタイムラグを利用し品質を下げた分だけ利益の拡大を図った。そして増えた利益を外に向けてアピールする。株式を上場するなり、既に上場していれば株価を吊上げそれを担保に銀行借入して、ライバルチェーンを丸ごと買収してしまうのである。

ステーキになる牛が、味わいも肉質も違う部位とごっちゃにされてファストフードの安いミンチ肉にされるのである。畜産農家や独立牧場主に、安く大量につくることだけを求めていけばモラルハザードが起る。仕事に愛情を失いどうでもよくなってしまう。結果、何が起こったか。狂牛病である。肉骨粉は本来牧草の肥料だった。それが英国で誤って羊の飼料に羊の肉骨粉が混ざったまま与えたところ羊の成長が急に良くなった。

それで肉骨粉入りの飼料がブームとなるが、すぐにスクレイピーという謎の病気が蔓延した。共食いで発症する病気なのだ。これで同種の肉骨粉が良くないことはよく知られるようになった。実際に日本の畜産農家は魚粉を使っている。この畜産業のタブーを平然と破ったのが巨大食肉加工会社が支配した、米国の畜産農家であった。処分された病牛を捨てるのは効率的ではない。病牛を肉骨粉にして牛に与えたのである。米国で狂牛病が蔓延したのは、当然なのだ!


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