ロスチャイルド家とは--⑫

97年〜98年のアジア通貨危機をきっかけに、中国の四大国有銀行(中国工商・中国建設・中国農業・中国銀行)は債務超過の状態となった。その解消策として国有銀行の民営化という手品を伝授したのが、90年以来70回も訪中したゴールドマン・サックスのヘンリー・ポールソンである。(94年12月CEO、06年7月米財務長官) ゴールドマン・サックスこそグローバル資本の代表格なのだ!

99年中国政府は四大国有銀行の不良債権を買取る、金融資産管理公司(AMC)を設立した。AMCは1.4兆元を買取り00年7月にほぼ終了した。01年11月中国人民銀行(中央銀行)の戴相竜総裁は「AMCによる買取後も四大銀行には1.8兆元の不良債権が残っている」と発表した。つまり、AMC買取り前の四大銀行の不良債権規模は3.2兆元であり、これは貸出全体の約4割という高い水準であった。

06年10月27日香港・上海市場に上場を果たした中国工商銀行の資金調達額が、世界最大級の219億ドルに及んだ。特にゴールドマン・サックスは26億ドルの投資を行い5.8%を保有する大株主となった。上場から数ヵ月で株価は大幅に上昇し、07年7月には時価総額が2,400億ドルに達し世界1位となった。そして09年5月以来、中国は最大の米国債保有国となる。

しかし、中国の経済改革や経済政策を立案・実行する国家体制改革委員会の報告によると、中国の12省・自治区のなかで144の地方政府が200以上の新興都市を建設。その大半がゴーストタウン化している。その代表例が07年に建設が進められ10年に完成した、内モンゴル自治区のオルドス市の100万都市は、住人が僅か3万人という。

さらに、これまで中国に生産の拠点を置いたり、外注委託していた米国企業が近来の賃金上昇や輸送費増大などのコスト増や低品質などの理由により、米国の中国離れが顕著になった。ゴールドマン・サックスは09年以降、6度にわたり中国工商銀行株を売却。そして13年5月残りの11億ドル相当の株式売却を始めた。同社の投資額26億ドルに対し売却累計額は101億ドルに達する。

ゴールドマン・サックスは13年8月「中国の信用懸念問題」について特集した。「透明性の低いシャドーバンキングが資金調達を増加させている」「中国でバブルが崩壊した場合、貸倒損失が最大18.6兆元(297兆円)になる可能性がある」という試算を示した。日本の不動産バブル崩壊後に発生した不良債権による損失額は約100兆円、米国のリーマンショックは3兆ドルの損失が発生したとされる。これらと比較しても巨大なインパクトだ!

14年7月29日新華社は、チャイナ・ナインの一人であった周永康が、中紀委の取調べを受けていることを正式に公表した。私は次に江沢民が逮捕されれば中国共産党は崩壊すると期待したのだが、中国ウオッチャー遠藤誉は「習近平には権力闘争するほど余裕はない。彼のやっていることは一党支配を如何に維持するかだけである」「習近平国家主席まで押上げたのは江沢民である」と指摘している。


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