ロスチャイルド家とは--⑲

1914年に第一次世界大戦が勃発した。米国は孤立主義外交の伝統から当初は中立だったが、戦争は思いのほか長期化した。下手をするとドイツと英仏の双方が共倒れしかねない。戦闘を続ける双方に金を貸していたロスチャイルドらグローバル資本は、戦債の返済能力が壊滅する恐れがあると危惧して、米国参戦を急いだ。15年彼等は英船ルシタニア号撃沈事件を仕掛けた。犠牲者1,198名のうち米国人128名が死亡したため米国の反独感情が高まった。

それでも、戦争の準備ができていなかったウイルソン大統領は参戦を拒んだ。参戦の直接のキッカケは、ドイツが指定した航路以外を航行する船舶は、国籍を問わず無警告で攻撃するという無制限潜水艦作戦で、英仏軍に援助物資を送れなくなった米国は17年4月6日参戦を決議する。総兵力210万人の米軍登場で、均衡を保っていた西部戦線に大きな変化が生じ、18年11月11日ドイツは降伏した。

グローバル資本は第一次大戦後のアジア・太平洋地域における主敵を日本と設定した。もはや英仏には日本の独走を制御する能力はないと見て、国際会議の開催に踏切った。21年〜22年に開かれたワシントン会議である。戦艦の保有を米英日で5:5:3と決定し、米英仏日で四ヵ国条約が締結され、同様の内容を含む日英同盟は解消された。これは黄色人種日本人を孤立させるという謀略だけでなく、米国が宿敵、世界の覇者大英帝国を破った瞬間であった。ここから英国の凋落が始まる。

第二次世界大戦後の英国労働党政権はソ連に倣って主な産業を国営企業の独占としたため、競争が行われず設備の近代化が遅れた。その結果、供給力不足に陥りインフレが昂進し、国際競争力を失い貿易収支は大幅な赤字となりポンドが下落した。

79年に登場したマーガレット・サッチャーはインフレを高金利で抑えたため失業率が急上昇した。労働組合を骨抜きにし金融の規制緩和をすすめ、製造業から金融・商業へシフトしたが、英国の相対的衰退は抑えられなかった。つまり、彼女はシティいわゆるグローバル資本の操り人形だったのである。彼女が推進した金融立国が危ういのは、失敗すれば莫大な借金が残って、あとには何も残らないということである。

2014年6月12日付のタイムズ紙は「中国李克強首相の16日からの英国訪問に際し、エリザベス女王との面会を要求し、応じないなら訪問を撤回すると脅していた」と報じた。この厚顔無恥な要求に英国は面会を受入れたのである。私は過去のアヘン戦争に対する辛辣で過酷な報復だと見ている。スコットランドの16歳〜29歳の若者の失業率は17%に達している。この英国政府の弱腰に彼等の独立志向が高まるのも無理はない。

しかし、スコットランドが頼みとする北海油田は、2020年代に入ると資源の枯渇が進み、多くの油井で生産が停止する予測がされ、将来の財政収入に大きな不安があったのである。この度の独立否決は正しかったのではないだろうか?だが、グローバル資本の99%を奴隷にする政策には、敢然と戦わなければならない。彼等が扶植した貧富の格差に沈黙してはならない。世界中で声を上げよう!解決される道は必ずある!


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